モーツァルト:二つのマンドリンのための12の二重奏小曲集

W. A. Mozart 
二つのマンドリンのための12の二重奏小曲集  K.487(496a)


マンドリン 久松祥三 巴森太郎
企画制作:Hisamatsu.org
頒布価格:2,000円(送料200円) 

完売いたしました。ありがとうございました。

この12曲からなる小曲集は、1786年にウィーンで作曲された。そのうち第1、3、6曲は自筆譜が残されている。そこには、「1786年7月27日、ウィーンにてボウリングをしながら」という記述がある。Mozartはゲームの合間に作曲していたらしい。しかし、Mozartにとって、「遊びながら」作曲するということが、作品の質には決してマイナスにならないようである。この作品集の小さな、まるで花束のような美しい音楽を聴くとき、他のMozartの作品にひけをとらないものであることに驚いてしまう。

この小曲集には、楽器編成が書かれていない。そのため、150年程の間に、様々な楽器編成のために編曲(編集)され、たくさんの楽譜が出版された。1947年になってオーストリアの作曲家兼批評家のJosef Marxが、この小曲集はホルンのためのに書かれたものだと発表した。彼の研究によれば、ホルン奏者Leitgebのために作曲されたものであり、LeitgebはMozartのボウリング仲間であったという。Marxによると、この12の小曲集の旋律の多くが、MozartがLeitgebのために作曲したホルンの独奏曲の中に使われているという。

ただ、Marxの研究が正しいとしても、この小曲集がホルンでしか演奏されないとしたら、その音楽の価値を小さなものにしてしまうと言える。良い音楽は様々な楽器で演奏されることで、違った輝きを見せるものである。この小曲集の価値は、現在でもいろいろな楽器編成のための楽譜が出版されていることからも判断することができる。

録音にあたって

Mozartの時代の音楽を意識して、演奏に際してA=415Hzの古典調律を採用した。また、マンドリン本来の美しい響きを大切にし、一切トレモロを用いず、全て単打で演奏している。緊張感のただよう中で、2つのマンドリンが時に調和し、時に互いを主張するような演奏をお聴きいただきたい。マンドリン二重奏によるMozartの小品集をお楽しみいただき、この録音が多くのマンドリン奏者が自分自身で演奏して楽しんでいただく一助となれば幸いである。